
保存科学分野
「保存科学」は、自然科学の原理やその手法を応用し、文化財を保存・活用する分野です。具体的には、文化財の構造や材質を調査し、価値の再発見や保存活用に役立てます。また、環境を調査し、文化財に及ぼす影響を究明して安定した保管環境を維持します。
資料の調査と保存処理
発掘調査で出土した金属製品や木製品は、出土時の状態では脆く、本来の姿形が分からないことがあります。そこで、まずはX線透過撮影や赤外線カメラなどを用いて、目では見えない資料の状態や書かれている文字を調査します。
次に資料のクリーニングや、強化を行います。このような処理を保存処理といい、処理することで安定した状態を保つことができるようになり、資料の調査研究や展示が可能になります。
展示収蔵環境の管理
資料はその材質と周囲の環境により、さびたり変形したりしてしまうことがあります。そのような劣化を防ぐために、収蔵庫は資料の材質ごとに部屋を分け、それぞれの材質に適した環境にしています。展示室や収蔵庫では、資料が安定した状態を長く維持できるよう、温度・湿度などの他にも虫や浮遊菌など様々な環境調査を定期的に行い、環境の管理を行っています。