写真撮影の方法について
令和4年に博物館法が改正され、「資料をデジタルで記録し、公開すること」が博物館の大切な役割とされました。これを受け、全国でデジタル技術を使った資料の記録や保管(デジタルアーカイブ)が進んでいます。しかし、この具体的なノウハウはまだ十分に確立されておらず、多くの人が共有できる状況にはなっていません。特に民具を撮影し、アーカイブする場合は、次のような課題があります。
- 収蔵されている点数が非常に多い
- 素材やサイズがさまざまで、扱いが難しい
- 専門的な知識を持った職員が少ない
これらを解決するためには、質の高い写真を最低限の知識や技術で撮影するためのマニュアルが必要です。そこで宮城民俗コモンズでは、民具の写真撮影に関する基準を作成しました。一部の資料については撮影の様子も記録し、写真と一緒にインターネットで公開しています。デジタルアーカイブ「宮城の民具」に掲載している写真の多くは、この基準により撮影されたものです。
撮影機材について
- 1.カメラ
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- 映像素子:35mmフルサイズセンサー
- 有効画素:2000万画素
- (基準品:SONY α7 III ILCE-7M3)
- 2.レンズ
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- 焦点距離:50mm
- 最短撮影距離:0.17m以内
- (基準品:SONY FE 50mm F2.8 Macro)
- 3.背景紙
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- 幅:2.7m
- 長さ:11m以上
- 色:グレー
- (基準品)SETPAPER フル ♯12 スモークグレー
- 4.照 明
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- 光源:LED
- 出力:180W以上
- CRI:96以上
- (基準品)NANLITE FS-150
- 5.ディフューザー
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- 面積:90×60cm以上
- (基準品)NANLITE SB-RT
- 6.三 脚
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- 最大高:1605mm以上
- 最低高:165mm以下
- 耐荷重:2㎏以上
- (基準品)SLIK スプリントL110
撮影設定について
- 撮影モード:A(絞り優先モード)
- 画像サイズ:L 24M
- 横縦比:3:2
- 画質:RAW+JPEG
- フォーカスエリア:中央
- ISO感度:100
- 絞り:F8
- シャッタースピード:自動(1/2秒~1/125秒あたり)
- 測光モード:中央重点
- ホワイトバランス:5100K
- クリエイティブスタイル:スタンダード
- ドライブモード:0.5EV 5枚+セルフタイマー2秒
撮影環境について
- 撮影空間:4m × 4m
- 床:硬質素材(柔らかい場合はコンパネ等を敷く)
- 電源:あり(状況に応じて延長コードを使用)
- 外光:なし(窓がある場合は遮光)
- 基本配置:下記「撮影基準カード」の通り
