当館では県内に各地域に所在する文化財の調査に力を入れてきました。その中でも、高僧の記した墨蹟類が諸寺院で多数所蔵されていることがわかり、現在も調査を継続しています。その調査の成果を元に、今回の展示では、曹洞宗の高僧である牷䓠(ぜんたつ)の墨蹟を特集します。
牷䓠は、佐賀に生まれ、仙台藩第五代藩主伊達吉村にその才能を認められて、仙台・輪王寺の住職に招かれました。その後、吉村の支援を受けて、当時荒廃していた洞雲寺(仙台市泉区山の寺)を再興しました。その一方で、当時から能書家としても知られ、篆書体・隷書体・草書体を問わず、数多くの多様な書を残しました。また、それらの多くは、仙台藩領内に所在する寺社の扁額として今でも残っています。
本展では、多種多様で魅力あふれる牷䓠の墨蹟を紹介します。