掛け軸は一幅、二幅と数えます。これが、二幅、三幅など、複数で一組になっているものを「対幅」と呼びます。
 対幅には、一幅だけの場合とは異なる独特の構図や組み合わせがあります。美人や名所など共通の題材を組み合わせるなかで、左右対称を意識した構図で全体のバランスを整えたり、春と秋など異なる季節や時間を組み合わせてその移り変わりを見せたりと、そこには対幅ならではの、さまざまな工夫が凝らされています。

 本展では、館蔵の近世に描かれた掛け軸を通して、対幅の魅力をご紹介します。