テーマ展示では、「郷土玩具の世界」として、手島コレクションのこけしを紹介します。
 

 手島コレクションは、東北帝国大学医学部の手島僚氏が昭和7年から11年にかけて収集したこけしのコレクションです。この時期は、こけしの存在が全国に知られ、収集を始める人が出始めた時期にあたります。この後に訪れる第1次こけしブームの直前にあたり、貴重なコレクションとなっています。
 

 今回は、作家に焦点を当てた展示となっています。手島氏によるこけし収集では、昭和5(1930)年に刊行された天江富弥による『こけし這子の話』の影響を受けていたことがわかっています。最初のこけし専門書とされる同書には産地ごとの概略が紹介されており、約40名のこけし作家の名がはじめて世に出ました。124点ある手島コレクションのうち39点がここに掲載された作家のものであり、この本を参考にしながら産地を回って工房や店を訪ね収集していたことがうかがえます。
 

 同時に、掲載されていない作家でも、同じ工房の作家や、収集された昭和10年前後に人気のある作家といった具合に、優品を求めて産地を回っていたことがわかります。
 

 今回の展示では、宮城県に伝わる鳴子、作並、遠刈田、弥治郎という4系統にしぼって全ての作品を紹介しています。系統の違いとともに、師弟など同門の作家の似ているところ、違うところを見比べてみてください。
 

佐藤雅雄(弥治郎)10寸
平賀謙蔵(作並)9寸