日本各地で作られる郷土玩具は、その土地の信仰や伝説、習慣などを題材として生み出された地方色豊かな手作りの玩具です。現在では作りの素朴さ、懐かしさを楽しむみやげものとなっているものもあります。

 篠田安治氏による独楽コレクションは、国内の伝統独楽だけで総数300点以上あります。その中心に今回紹介するろくろを使った木地玩具、江戸独楽があります。江戸東京の木地職人により作られ、庶民に流行した江戸独楽は、からくり独楽の要素を取り入れたものや、特異な意匠のものなど、洒落っ気のある粋な独楽です。残念ながら明治時代になると江戸独楽を作る職人も減り、東京から宮城に移り住んだ広井道顕・政昭兄弟が最後の職人となりました。篠田氏は、昭和50(1975)年から平成5(1993)年まで続いた広井道顕氏の江戸独楽復刻シリーズ「江戸の粋100選」の同人として、復刻されるごとに収集を続けました。広井氏は、その後も「江戸の粋50選」、「新江戸の粋50選」と復刻を続け、総計181点の江戸独楽が篠田氏により収集されました。今回のテーマ展示ではここから選りすぐりの作品を紹介いたします。