商工省工芸指導所は昭和3年に仙台市に設立された国立の工芸/デザイン研究機関です。製作技術や素材の開発とデザイン開発を行い、その試作品を製作しました。同時に「指導」と冠しているように、東北地方を中心に全国の職人に研究開発した新しい技術やデザインを教えることも活動の柱になっていました。工芸指導所は昭和16年に東京に本所が移り、仙台は東北支所として活動を継続します。仙台では、その後昭和26年に産業工芸試験所東北支所と改称し、昭和43年に東北工業技術試験所と改組されるまで、主に漆工、木工に関する技術開発を担いました。
今回のテーマ展示では、木工関連の試作品を紹介します。木工に関する試作品をみると、合板の研究が最も大きなテーマであることがわかります。木材の持つ収縮などの変形性、金属と較べての強度の低さを改善できる点が合板の利点となります。使い勝手がよく、強度もあり、デザイン処理しやすい、そして無垢材に較べて安価な素材なのです。私たちの身の回りにも合板の製品はたくさんありますが、その元となった試作品を御覧下さい。