柄鏡は持ち手の付いた銅鏡で、室町時代の終わりから用いられるようになり、江戸時代に流行しました。柄鏡は明治時代にガラス鏡が普及するまで人々の生活に密着した道具でした。
鏡は化粧道具として用いられることが一般的ですが、光を反射して姿を映し出すという性質から神秘的なものとみなされ、信仰の場で用いられることもありました。また、鏡の神秘的な力は普段使用する際にも意識されました。
柄鏡の裏側である鏡背には蓬菜文や風景、紋章など様々な美しい図柄が描かれました。このような図柄の創意工夫は、使用者の思いや形態の変化と深く関わっています。
この展示では光を映す「鏡面の美」と図柄が描かれた「鏡背の美」に注目し、柄鏡の両面の美を紹介いたします。