仙台市博物館所蔵の伊達家文書は、仙台藩主伊達家に伝来したもので、鎌倉時代に伊達郡を本拠とした伊達氏に関する中世・近世の資料が中心の文書群です。南奥羽を中心とした東北地方の中世史研究にとって欠くことのできない重要な文書群で、かつ仙台藩研究の基本史料であることなどから、政宗期までのものが令和2年に国の重要文化財に指定されました。

今回の展示では、伊達家文書の中から藩主の遺言状、特に伊達綱村の遺言を特集します。

伊達家文書における藩主等の遺言状には、四代藩主綱村、五代藩主吉村、六代藩主宗村、伊達吉村夫人長松院などのものがありますが、綱村のものは、藩主として、茶人として、宗教人として、また人間として、さまざまな内容が語られています。特にその内面性を窺い知ることができる点では、他の藩主の遺言と比べて傑出しています。また、綱村のお尋ねに対する吉村の返答も、大変興味深いものです。

この展示では、綱村がその人生の中で何を考え、死に際にて何を伝えたかったのか、また周囲はどう思っていたのかを探っていきます。