力強く迷いのない筆致で半身の達磨を描ききる傑作です。墨の濃淡で、顔の輪郭、髪の毛や髭、着衣を描き分けています。白隠の達磨図は、七十代に傑作が多いとされていますが、この図は、賛・達磨図の筆致から、それよりも若い時期に描かれたものと考えられます。

 賛は「直指人心、見性成仏」と書かれており、仏になる(悟りに至る)道は自分の心の中にしかない、自分の心に問いかけよ、自分の心を見極めよ、という意味が込められています。そんな賛の意味をかみしめ、達磨を見ると、さらなる迫力で見る者を圧倒します。文字と絵画で見る者に迫り伝えるという、画賛の魅力を存分に味わえる資料となっています。


※「賛」…絵画の余白に添える文章。絵画があらわす意味を表現することもあり、和歌や漢詩など、ふさわしい内容と題材が選ばれる。