日本文化の底流には、太古の昔から神々をまつり、祈りを捧げる文化があります。その時々の人々は、生活の平安を祈り、また困難な状況にあっても神々への祈りを続け乗り越えてきました。一方で人々は、神殿を造営・修理するなど、清新な環境を整え、繰り返し神威の再生を図って今に伝えてきました。それは、神だけの再生ではなく、人々の魂の再生でもあり、社会全体の再生でもありました。このような神々に対する人々の行為が、長い年月にわたって継続・堆積し、今の社会や生活の中にも神々への信仰が根付いています。
 本展では、全国の代表的な御社の中から、伊勢神宮、賀茂御祖神社(下鴨神社)、出雲大社、鹽竈神社を取り上げ、それぞれに特徴のある各御社の歴史と人々の結びつきをたどります。それによって、神々への信仰がいかにして継続してきたのかを探ります。同時に、神々との関係の中で、人々の精神や社会の再生がどのようにして希われたのかを見ていきます。
 現在、東日本大震災の極めて困難な状況にある中、本展がその復興についての示唆や希望を少しでも得られる機会となりますことを願うものです。【写真 「古神宝  御天冠」 享和元(1801)年 下鴨神社)】

 

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