東日本大震災では、数多くの文化財が津波等によって甚大な被害を受けました。それらは文化財レスキュー事業などによって救出されましたが、被害の大きさ故に、そのままでは文化財としての価値が失われてしまうものも少なくありませんでした。そこで、当館では文化庁の支援によって、修理・保存処理を行い、それらの被災文化財が永く後世に伝えられるように事業を進めています。今回は、昨年度から2カ年にわたって修理を実施した石巻市阿部家資料について、極めて深刻な状態からよみがえった現在の状態と修理の実施状況を中心にご紹介します。