観音菩薩(かんのんぼさつ)は、今を生きる人びとの悩みや苦しみ、願いなどを受け止め、人々を救うために自ら進んで現れると信じられてきました。人々に寄り添い、身近で頼りになる存在として古くから盛んに信仰されてきたのです。
 東北地方はこのような思いがことのほか強く、各地で多くの観音菩薩の像が作られ、今にいたるまで人々の心のよりどころとなっています。東北各地に伝えられる観音菩薩の像をみると、親しみやすさがにじみ出たり、大きく立派な姿にあらわしたりするなど、観音菩薩に親しみ、頼りに思った人々の気持ちがうかがえます。
 この特別展は、東北各地の観音菩薩の像や人々の願いを示す文化財などから、観音信仰の実像を探り、ふるさと東北の「文化力」に迫ろうとするものです。
 地域の文化や誇りをあらためて認識していただくことで、震災からの復興を支援できるよう、さらには、震災に直面した県民の皆さまのお心に対して少しでも安らぎを届けられるよう願っています。