日本の古い絵には、色あざやかで目立つものがある一方で、墨が主役で、ほぼ黒一色に仕上げられた絵もあります。これは、地味ながらも清々しさや緊張感、迫力をそなえた印象深いジャンルです。
江戸時代の仙台にも、このジャンルを得意とした絵師がいました。本展ではその一人、菅井梅関(1784~1844)を取り上げます。
幼いころから絵を描くことに熱中した彼は、二十代半ばで仙台を出た後、江戸、関西、九州と転々と移りながら、二十年以上にわたり遊歴を続けました。この間、多くの師や理解者、絵の手本となる名画などに接したのですが、なかでも中国から伝わった、品格を感じさせる絵の一群に心を奪われたようです。
本展では、彼が中国の絵や風景を手本として追い求めた絵の世界をお楽しみいただきます。