東北歴史博物館平成17年度特別展

 

 

 

 

 

 

 

 開催期間 

 平成17年12(金)〜925日(

 開館時間

   9:30〜17:00 (最終入館16:30)

 休館日

   毎週月曜日(但し9月19日は開館いたします)

 観覧料金

    一 般  :1,000円(900円)

   高 校 生:  500円(400円)

   小・中学生:  200円(100円)

*(  )内は、20名様以上の団体料金 *上記観覧料にて、常設展示もご観覧いただけます。

 

はじめに

 

 縄文時代の遺跡は、普通、海岸や河川に面した丘などで見つかることが多くあります。そこでは、竪穴住居(たてあなじゅうきょ)の跡や墓地が発掘されてきました。土器石器なども多く出土します。貝塚(かいづか)が見つかれば、タイスズキなどの魚類やキジカモなどの鳥類、シカイノシシなどの獣(けもの)類の骨が含まれているので、それらが食料になったことがわかります。 「衣」・「食」・「住」のうち、「(べもの)」と「(まい)」はある程度まで推測することができるのですが、繊維製品(せんいせいひん)が残されていないので、「(服)」は分かりません。また、住居についても木材が残っていないので、どのような構造の住居だったのかは分かりません。

 ところが河川や湖沼のそばで遺跡が発見されると、その場所が水に浸(つ)かっていたために、繊維や木材が、縄文時代のタイムカプセルに入っていたかのように、保存されている場合があります。水に浸かっていて空気にさらされることがなかったため、酸化せずに残っていたのです。河川や湖沼のそばで発見されるこのような遺跡は、低湿地遺跡といわれていますが、まさにこの低湿地遺跡は、縄文時代のタイムカプセルのようなものと考えられるでしょう。

 以前はこのような低湿地遺跡の発掘があまり行なわれていませんでした。最近は、日本列島各地で縄文時代の低湿地遺跡が調査されるようになり、かつての木製品繊維製品の実態が少しずつわかるようになりました。さらに水場遺構(みずばいこう)が見つかることもあり、トチの実などの植物質食料の加工方法も推測できるようになりました。

 

新潟県青田遺跡「青田川の岸辺と底の発掘」

 田園地帯で有名な新潟平野は、蒲原平野とも呼ばれ、かつては文字通り「芦(あし)」や「蒲(かま)」などが生い茂る湿地帯が広がり、潟湖や沼が無数に点在していました。この平野の北部は紫雲寺潟(塩津潟ともいう)もそのひとつで、江戸時代に干拓されるまで、水深3メートル、面積2,000haを有していたといいます。青田遺跡は、この紫雲寺潟の底から発見された縄文時代晩期終末の大規模な集落遺跡です。低湿地という環境条件によって、当時の生活面がパックされ、木柱が林立したままの掘立柱建物や丸木舟をはじめとする多くの木製品が見つかり、川辺に暮らした青田の縄文人の様子がよみがえりました。

展示の目的

 

この展示では最近発掘された新潟県青田(あおた)遺跡や東京都東村山市下宅部(しもやけべ)遺跡・青森県八戸市是川中居(これかわなかい)遺跡などを取りあげて、縄文時代の生活の実態に迫ってみようと思います。

 この展示を企画したきっかけは、平成13年から15年まで実施した歴博の共同研究『縄文・弥生農耕の環境への影響』です。 この共同研究では、縄文時代の植物利用や弥生時代の栽培植物を考えていました。

その研究の途中で、新潟県青田遺跡の発見がありました。また、東京都東村山市下宅部遺跡で弓矢や編物が大量に出土しました。また、新潟県分谷地(わけやち)A遺跡で見事な漆塗り容器や赤い糸玉が見つかり、八戸市の是川中居遺跡でも新たな漆製品が続々と見つかるようになり、縄文文化の新しい側面が見えてきました。そこで、これらの新しい資料を集めて、縄文文化の再発見をしてみたいと思いました。

主な展示品

 

 まず、新潟県青田遺跡です。新潟平野の海岸近くにある遺跡で、このような場所で発見されるとは思いませんでした。現在は標高0mですが、縄文晩期当時は標高数メートルで、川の傍にあったため、家の柱が残っていました。柱をむすぶと六角形になり、これまでほとんど知られていない家のプランです。この柱の配置でどのような平面プランの住居が建っていたのか、また、高床式住居か平地式住居かも分かっていません。  

 展示品は、青田遺跡の丸木舟や木製品、下宅部遺跡の弓矢と籠などの繊維製品、分谷地A遺跡の漆塗り容器、是川中居遺跡の木製品や樹皮製品などです。日常の生活に用いる石斧の柄・木製容器・木製堀具などの発掘品を中心です。  

 今回特に注目されるのは赤と黒の漆塗り水差しや赤漆塗りの糸玉・装飾された木製容器などです。

 新潟県黒川村出土の黒漆塗りの木製水差しには、クルミの殻の細片やニワトコなど十数種の種子類がびっしりと詰まった状態で出土しました。果実酒とは考えられない内容であることから薬か調味料を作っていたのではないかと推測しています。

 赤漆塗りの糸は、最近よく発見されることから、縄文人が好んで用いていたことが分ってきました。しかし、漆を塗って乾燥した後に結んだり丸く糸玉にしていることに驚いています。なぜなら、乾燥すれば硬くなる漆に柔軟性を持たせることは、現在では忘れられた技術だからです。

 また、是川中居遺跡で出土した樹皮製容器は、樹皮を曲げて縫い合わせて蓋付きの大きな丸い箱にしたもので、これまであまり知られていない木製品でした。表面に土器と同様の雲形文様が漆塗りで描かれていました。

 さらに、各地で出土している水場遺構をレプリカやビデオで展示します。最後のコーナーでは青田遺跡や是川中居遺跡・下宅部遺跡の発掘状況を映像で紹介します。  なお、この展示は国立歴史民俗博物館(平成17年6月14日〜7月31日)と新潟県立歴史博物館(平成17年10月8日〜11月27日)との共同開催ですので、それらの博物館でもご覧になることができます。

 新潟県青田遺跡
 朱漆塗り木製容器(分谷地A遺跡)
 赤漆塗り糸玉(青田遺跡)

の器と道具、

 水辺のムラが

   人々のくらしを

     ってくれます

 赤色漆塗り木製鉢(是川中居遺跡)  赤色漆塗り耳飾り(分谷地A遺跡)

特別展関連行事へ

「縄文たんけんカード 何だこれは?」を見る(p.1 p.2〜3 p.4)

 

開館時間: 9:30〜17:00(入館は16:30まで)
休館日: 毎週月曜日(但し9
月19日は開館いたします)
展示場所:特別展示室で開催いたします。
観覧料: 一般・大学生1000円(900円)、高校生500円(400円)、小・中学生200円(100円)
     ※( )内は団体(20名様以上)の料金です。 特別展観覧券で常設展示もご覧になれます。

問い合せ
東北歴史博物館
TEL 022(368)0106
住所 宮城県多賀城市高崎1−22−1


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