発掘調査いま

 道路跡を探索中。/平成29年6月21日

 第91次調査が始まってもうすぐで1ヶ月が経ちます。
 調査初日に比べ過ごしやすい気温の日が続いているのは良いのですが、梅雨入り前にもかかわらず雨の降る日が多く、思いのほか調査が進んでいないのは残念なところです。


 さて、前回の更新のなかで調査を行う場所を3ヵ所設定したと書きましたが、それが下の写真で赤く示した1~3トレンチです。

(写真は上が北)


 調査の結果、1・2トレンチでは近現代の削平が著しく、南北大路と考えられる明確な道路側溝や路面を確認することはできませんでした。

 現在は3トレンチの調査を進めています。3トレンチの南で行われた県道建設に伴う発掘調査では、南北大路の道路側溝が見つかっていおり、3トレンチでも確認できる可能性が高いです。
 これから梅雨に入って気温も上昇し、調査を行うには辛い時期になりますが、調査員・作業員ともに体調に気をつけつつ、道路跡の探索を進めていきたいと思います。

(2トレンチ作業風景。南東から)
                                                   (高橋 透)


発掘調査が始まりました。/平成29年5月26日

 5月22日より、発掘調査が始まりました。
 初日となった22日は、気温28℃と今年一番の暑さで大変でしたが、昨年の調査初日が30℃を超える暑さだったことを考えると、まだ少し楽だったかもしれません。

 今週はまず調査をおこなう場所を決め、そこの表土を除去する作業をおこないました。
 調査をおこなう場所は、以前アパートが建っていた部分の南側に1ヵ所、その北側の一段高いところで2ヵ所設定しました(写真は北側の調査区の一部を東から撮影)。



 北側の調査区は一部ですでに岩盤が露出しており、道路跡は思っていたよりも残りが悪そうです。ただし、南側の調査区では道路跡にともなう両側の側溝がよく残っている可能性があり、今後の調査成果が期待できます。
 来週からは人力で土を掘下げ、道路跡の様子を確認していきたいと思います。

                                                  (高橋 透)

発掘調査が始まります。/平成29年5月17日

 来週から、今年度の第91次発掘調査がはじまります。
 年は遺跡全体の南端中央部にあたる田屋場地区で、多賀城外郭南門から南へ延びる南北大路の調査を行います。下の図で赤く示した所が今回の調査区です。







 多賀城の外郭南門は、平成36年度完成を目指して建物復元を行う予定で、同時に周辺の環境整備も行います。そこでは南北大路も復元展示しますので、今回の調査ではその際に参考となる情報が得られると考えています。

 調査は10月前半頃まで行う予定で、9月には現地説明会を行いたいと考えています。その際には皆さんへ古代の道路の様子をお見せできるよう、調査を進めていきたいと思います。

                                                   (高橋 透)

発掘調査が終了しました。/平成28年10月17日

 先週、調査区の埋め戻しを行い、第90次発掘調査が無事終了しました。
 説明会後に、図面作成や全体の写真撮影(1枚目:上が北)を行なったあと、重機による埋め戻しを行ないました(2枚目)。作業風景は、5月27日の記事と一見似ていますが、調査担当としては全く違う気持ちでカメラのシャッターを切りました。
 この後は、室内での整理作業に入り、現場での成果をさらに分析していきます。
 発掘調査へのご協力ありがとうございました。


調査区空撮埋め戻し風景

(廣谷 和也)

現地説明会へのご参加ありがとうございました。/平成28年9月30日

 先日は、現在の調査成果について一般の方々への公開を行いました。その数日前には、報道機関への公開も行い、新聞やテレビ等で説明会の開催を知った方も多いかと思います(写真1枚目)。
 天候にも恵まれ、無事終了することができてホッとしていますが、説明が至らなく、わかりにくい箇所が多かったであろうことを反省しています。
 それでも、檜扇については実際に間近で見てもらうことに意味があったと思っています(写真2枚目)。あの状態で皆さんの前に展示できる機会は今後もそう多くはありません。遺物の状態は、時間の経過と共にどんどん変わっていきますので、調査現場で出土した製品の鮮やかさを感じていただけたなら幸いです。

報道発表風景写真檜扇展示風景写真

当日は、説明会終了直後に雨がぱらつきはじめ、その後二日間降り続けました。
今回の調査チームに雨男がいないことを確信し、調査完了にむけてラストスパート中です。

当日の配付資料を「お知らせ」に掲載しましたのでご利用ください。

残暑の中、説明会に向け準備中です。/平成28年9月9日

夏らしい暑さとなった今年の八月は、いつもより台風の多い夏となりました。
その合間を縫いながら、調査を進め、現在は写真のようにさらに深く掘り下がっています(1枚目の写真)。

そして、現在の地表面から、2.5mほど下がったところで、目的としていた第Ⅰ期の外郭南辺を見つけました。
掘り下げる課程では、前回紹介した道路盛り土の作り方についても確認しており、一定の成果が上がりました。 
そこで、現地説明会で皆さんに調査成果の公表を行いたいと思います。
日時は、9月17日(土)の10時半からです。
出土した扇も展示予定です(2枚目の写真)。
詳しくは、「お知らせ」に掲載していますので、ご覧ください。

現在の調査風景写真出土した扇の写真

現在、調査と平行しながら説明会に向けての準備を進めているところです。
所員一同お待ちしておりますので、ぜひ足をお運びください。

(廣谷 和也)

長い梅雨が終わりそうです。/平成28年7月27日

 今年の梅雨は、梅雨らしい梅雨となりました。8人の作業員さんの活躍に、途中13人の東北大学実習生の若い力による応援も加わり、雨による中断を繰り返しながらも、順調に進めています。

 下の写真は先週撮影したものです。前回記事の1・4枚目の写真と見比べてみてください。さらに1mほど堀下がりました。
 
 一番内側の調査区の、中央から奥に見える、黄色い土を盛った高まりが、1200ほど前の9世紀代に使われた東西方向の道路跡です。1・2枚目の写真手前側の黒く写っている低い部分が土を盛る前の湿地状の地表面の高さです。西側から撮った3枚目の写真で黄色い土の範囲を見ると、手前(西)側が幅広く、奥(東)が細くなる形をしているようです。

 ここまで掘り下げる途中にも、いくつか興味深い遺構や遺物が出土しました。石を組んだ井戸には、大きな曲げ物が井戸枠として利用されていました。上澄みのきれいな水だけを使用していたのでしょうか(写真4枚目)。
 さらに珍しいものとしては、古代の役人が使った檜扇も見つかりました(写真5・6枚目)。何枚か重なっているようで、所々に墨の痕跡も見えました。何が書いてあるのか、想像が膨らみます。乞うご期待です。

 梅雨が嫌いだった盆地育ちの私にとって、涼しく過ごしやすい仙台の梅雨は少し名残惜しいですが、快晴の下での発掘調査も悪くありません。より古い遺構を目指し、さらに下へと堀進めていきます(写真7枚目)。

(廣谷和也)

手堀りにて、調査を継続中です。/平成28年6月17日

前回の更新のあと、人力による掘り下げを初めて3週間が経ちました。大きな雨もなく順調に進んでいます。
調査区全体の東側に優先的に掘る調査区を設定し(写真1枚目:南西から)、重機で取り足りなかった土をさらに下へ下げました。下げる途中には、完全に近い形で壊れたような古代の土器も出てきます(写真2・3枚目)。スポンジで泥を落とし、後々の整理のために丁寧に取り上げました。

調査区全体 南西から土器掃除の様子出土した完形の土器

数十センチ下げて面をきれいにしたところでいくつか遺構が見つかりました(写真4枚目:南西から)。低い南側には畑の畝とみられる溝、やや高い北側では井戸が使われていたようです、そのほか小さい柱穴もあるので小規模な建物もあったとみられます。調査区内は、深く掘り下げると水が出てくることが多く、井戸も柱穴も泥と闘いながら、掘り下げを進めています(写真5・6枚目)。

3層上面の遺構井戸掘り風景柱穴堀風景

層位的に、現在見えている遺構は古くとも10世紀以降に使われた施設とみられます。また、出土する土器なども確実に新しい時代のものはほぼ見られないので、古代からさほど遠くない時代のものかもしれません。ただ、目指すは、さらに古い時代です。

今週からついに梅雨に入りました。長雨が続かないよう祈りながら、さらに下へと掘り下げていきたいと思います。
調査に雨は天敵ですが、梅雨に映えるアヤメが満開に近づきつつあります。
今週末からは、「多賀城跡あやめまつり」も開催されます。そちらもぜひご散策ください。→「あやめまつり」についてはコチラ

(廣谷 和也)

 

発掘調査がはじまりました。/平成28年5月27日

いよいよ発掘調査がはじまりました。今年は真夏日からのスタートです。

今週は、まず重機を使って上の土を除去しました。
小高い丘のある調査区の西側(写真1枚目の右側方向)から東側に向かって、上にたまっている新しい時期の土を除去しました。最も深い南東隅では1.5mほどまで下がりましたが、まだ目指す時代の土は出てきていません。

金曜の雨で、来週から掘りたいところがさっそくプール状態になってしまい(写真2枚目)、ポンプを使って水をあげました。今年もポンプは不可欠ですが、大活躍しない程度の雨で済んで欲しいです。
重機での掘削は終了し、次からはいよいよ人力のみで下に掘り下げていきます。

(廣谷 和也)

 

発掘調査がはじまります。/平成28年5月20日

来週から、今年度の第90次発掘調査がはじまります。
今年は遺跡全体の南側中央部にあたる坂下地区で、最も古い時期の外郭南辺の調査をおこないます。下の図のオレンジ色で示した所が今回の調査区です。

90次調査区位置図

政庁を取り囲む広大な外郭線は多賀城を特徴づける施設の一つです。当研究所では近年、当時の正面にあたる南側について特に力を入れて調査研究をしてきました。今回は最も古い時期の南辺があったと想定される、下の写真の位置を調査します。 

90次調査区写真

外郭線の構造は、材木塀と築地塀の二種類を使い分けていることを想定しており、3年前の86次調査では、低い場所では材木塀を使用していることがわかりました。今回はその延長線上を掘ることでさらに詳しい当時の姿に迫りたいと考えています。

今週は、来週からの掘削に向け、杭打ちと調査区の設定を行いました。今年は、例年より短い期間での調査となりますが、9月に予定している現地説明会で良い報告ができるよう所員一同努めてまいりたいと思います。

杭打ち測量風景

(廣谷 和也)