
■展示概要 
*企画趣旨
東北歴史博物館開館後の民俗部門収集資料のうち、特に大規模なコレクションとして小牛田農林高校齋藤報恩会記念農業館旧蔵の資料群があります。主として昭和30年代に収集された農具ですが、これは当時の副館長が機械化に伴う農具の消滅に危機感を持ち収集したものです。このコレクションは、明治時代に使われた農具・生活用具から、大正・昭和に改良を加えられたものなど、農具・生活用具の変遷を示す貴重な資料群となっています。
また、民俗部門では平成17年度より南三陸町にて東北学院大学との共同調査を実施しており、民俗調査とともに、個人が収集した民具1500点の整理作業を行っています。
今回の展示では、主としてこれら二つのコレクションを中心に、昭和30年代の生活や農業の様子について、
1)農業種別ごとに改良過程を意識したかたちで展示を構成し、近代農業の展開の中で失われてきた農業の様子を紹介します。
2)特定の地域に伝えられる生活用具、生業用具を展示することで地域の中で特徴的な展開を示す民具についても紹介し、あわせて宮城県の生活・生業の展開について紹介します。
本展では、単に博物館の調査研究の成果のみを紹介するにとどまらず、使用法が不明な資料なども展示することで、来館者からの情報を収集し、展示期間中に資料解説を修正していくなど双方向的な展示を目指しています。
*展示資料
齋藤報恩会記念農業館旧蔵資料・・・約140点 鈴木あきよ氏所蔵資料・・・約80点
*展示構成
1.ある家に伝わる道具
鈴木あきよ家に伝わる民具を展示し、多様な生業のあり方などを紹介します。 併せて、学生制作の解説パネル等を用いて調査地である波伝谷地区の民俗について紹介するなど、民俗誌的な展示を試みます。
2.農業の道具
斎藤報恩会農業記念館旧蔵資料を中心に構成し、
@同じように見える用具の違い、
A脱穀具を中心に変遷、
B播種用具を中心に農具の改良について主として紹介します。
また、この際補足となる資料が既に館蔵である場合は、その資料を展示します。
3.手製の道具
3−1 樹木、竹から作られる道具
斎藤報恩会資料及び鈴木あきよ氏資料より、ザルやカゴ類等竹ないし樹皮等を原材料とする加工品を展示します。
3−2 ワラから作られる道具
南三陸町の林際ワラ居の会の皆さんが作ったワラ細工を中心に、作られた道具と使われた道具を展示します。
以上
*展示の見方
館内で作った「特別展ちょっと昔のくらしの見かた」リーフレットを特別展示室の入り口でご来館いただいた皆様に配布します。その中に2枚の質問票を同封しますので、皆様から展示資料に関する情報をいただいたり、クイズに答えていただくことができます。
「これはなんでしょうか?」の質問票
展示資料の思い出や体験談などを書いていただき、新たな情報については随時展示資料のキャプションに反映させ修正していきます。
「どうやって使ったのでしょうか?」の質問票
特に小学生向けにちょっとしたクイズのような問いかけをいたします。クイズに答えながら展示資料を見ていく中で、興味や関心をを持っていただければと思います。

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