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テーマ展示室3 吉田初三郎の東北地方鳥瞰図原画展

吉田初三郎の鳥瞰図とは

 吉田初三郎は明治17年京都生まれ。空高くから斜めに地上を眺めるという、鳥瞰図の作者として大正〜昭和にかけてもてはやされました。その構図は独特で、対象を弓なりに描き、時には見えるはずのないものまで図内に収めてしまうものでした。

戦前の鳥瞰図の特徴

昭和初期に鉄道路線が発達し、都市で暮らす人々の生活が豊かになったこともあり、観光旅行ブームがおこりました。その際に、観光地を抱える鉄道会社や旅行関係団体は多くの旅行客を呼び込むために、初三郎の描く鳥瞰図に着目し、観光鳥瞰図の作成を彼に依頼しました。初三郎は多くの弟子たちと共同作業で写生や実地調査を繰り返して巨大な原画を描き、それをもとにして、小ぶりで持ち運びしやすい折りたたみ式の印刷観光用鳥瞰図パンフレットを作成したのです。

戦後の鳥瞰図の特徴

多くの弟子たちとともに鳥瞰図原画を描く初三郎にとって、戦争で若く優秀な弟子の多くが失われたのは痛手でした。また、戦後の物資窮乏のため、質のよい絵の具や筆、絹の入手も困難になりました。さらに、人々には旅行に出かける余裕もなく、鳥瞰図の依頼はほとんどなくなってしまいました。しかし、昭和25年以降、全国的に市町村合併が多くおこなわれ、その記念として鳥瞰図作成を依頼する市町村が増えていきました。

吉田初三郎「宮城県鳥瞰図

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